日本臨床外科学会雑誌
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症例
3D-CTが有用であった交叉性異所性融合腎を併存した直腸癌の1例
細谷 智穂坂 美樹坂本 友見子根本 昌之石井 健一郎金田 悟郎
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2014 年 75 巻 3 号 p. 754-758

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抄録

直腸癌に交叉性異所性融合腎を合併した非常にまれな症例を経験したので報告する.症例は70歳男性で便潜血陽性のために行った大腸内視鏡検査で直腸癌を指摘され,術前検査中に交叉性異所性融合腎と診断された.交叉性異所性融合腎は,馬蹄腎などの他の腎奇形同様に脈管や尿管の奇形が多いと報告されている.安全な手術を行うためには,脈管や尿管の走行を術前に理解が必要である.自験例では腹部造影CT血管構築画像(3D-CTA)を利用し,脈管および尿管の走行を術前に確認した.手術は腹腔鏡下高位前方切除術を行った.内側アプローチで手術を行い,後腹膜下筋膜の腹側の層で剥離を進めることで尿管や性腺動静脈,自律神経は背側へ温存され損傷することなく手術を終えることができた.腎奇形を合併した症例においても,正しい剥離層を保つことにより安全な腹腔鏡手術を行うことができると考えられた.

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© 2014 日本臨床外科学会
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