抄録
症例は63歳,男性.2カ月前より黒色便あり.2日前より嘔吐・下痢を認めたため前医受診し,血液検査で急性腎不全と炎症反応亢進を認め,同日当院に搬送となった.来院時貧血と高K血症,これに伴う心電図異常あり,緊急で血液透析を施行され入院となった.入院時より左鼠径部に巨大なヘルニアを認めていたが,第7病日に腹痛増悪と同部位に圧痛出現したためCT施行したところヘルニア嚢内での結腸穿孔の所見を認めた.術中所見で嵌頓腸管にS状結腸癌および口側の結腸穿孔を認め,鼠径部切開によるヘルニア根治術と下腹部正中切開の追加によるHartmann手術を施行した.ヘルニア嚢内で穿孔をきたした結腸癌の症例は特異な病態であり,本邦では過去に報告例がない.若干の文献的考察を加えて報告する.