抄録
症例は75歳,男性.2010年に前立腺癌の診断で小線源治療を受け再発なし.2012年2月,黄疸を指摘され当院紹介受診.精査にて左肺癌・胃前庭部早期癌・下部胆管癌・S状結腸癌を認めた.
同年3月,腹腔鏡補助下膵頭十二指腸切除+S状結腸切除術を施行.その20日後に胸腔鏡下左上葉切除を施行した.術後経過は良好で肺切除後9日目に退院した.病理組織学的診断では肺が低分化扁平上皮癌(Stage IIIA),胃が高分化腺癌(Stage IA),胆管が中分化腺癌(Stage II),S状結腸が中分化腺癌(Stage IIIb)であった.同時性4重複癌を含む異時性5重複癌は極めて稀であり,4重複癌を一回の入院ですべて切除しえた.手術の順序や術式の工夫,内視鏡手術による低侵襲化など十分な戦略をたてることで,短期間で安全に根治手術が施行できると考えられた.