2014 年 75 巻 8 号 p. 2274-2279
症例は78歳,男性.肝S4の径7cmの腫瘍に対し経皮針生検を施行し,肝細胞癌(Hepatocellular carcinoma;HCC)と診断され,拡大内側区域切除術を施行した.生検より2年9カ月後に肝切除断端S8に径2cmの腫瘤と,横隔膜・胸壁・皮膚にそれぞれ1cmの腫瘤を指摘され,肝部分切除+横隔膜腫瘤摘出+胸壁合併切除+メッシュによる胸壁再建を施行した.摘出腫瘤は全て中分化型HCCで,肝内転移および生検ルート播種と診断した.その後も繰り返す肝内再発に対して肝切除1回(計4回),リピオドリゼーション5回(計6回),ネクサバール内服などで加療し,生検後9年1カ月の生存を得た.
ガイドラインにもある通り,HCCを疑う肝腫瘍に対する針生検は慎重を期すべきであるものの,HCCは播種巣を含め繰り返す再発巣に対する切除などの積極的な治療が長期予後に繋がる場合がある.