抄録
われわれは,呼吸困難・腹部膨満感・下肢浮腫を主訴に来院し,肝十二指腸間膜および下大静脈を著明に圧排・伸展させた尾状葉発生の巨大な肝嚢胞に対し,腹腔鏡下に天蓋切除術を施行した1例を経験したため,文献的考察を含め報告する.
症例は70歳の女性.16年前に検診にて指摘された単純性肝嚢胞が増大し,自覚症状をきたすようになり,手術目的に入院となった.手術は,嚢胞表面を走行する脈管を剥離の後,嚢胞内容液を吸引し,天蓋切除術を施行した.自覚症状は著明に改善し,再発所見なく,外来にて経過観察中である.
単純性肝嚢胞にする腹腔鏡下手術は安全かつ低侵襲であり,患者のquality of lifeの視点からも有用な治療法と思われた.