2015 年 76 巻 10 号 p. 2387-2391
症例は53歳の女性で,術後再発乳癌に対し外来化学療法施行中,頸部皮膚転移による内頸静脈の閉塞をきたした.上大静脈の末梢側に位置する内頸静脈が,皮膚転移の悪化により閉塞し,上大静脈症候群と類似した顔面・口腔などの著明な腫脹が出現した.放射線照射による喉頭浮腫の既往があり,外来にて化学療法を継続していたが治療効果を認めなくなったため,症状の緩和を企図しステント留置を選択した.本症例では血管内ステント留置による症状改善が得られたため,文献的考察を加えて報告する.