2015 年 76 巻 11 号 p. 2660-2664
症例は67歳,女性.肝血管腫の経過観察中に施行したMRIで,前縦隔に異常影を認め当科へ紹介された.胸部造影CTで前縦隔の一部に造影効果を示す径16mmの腫瘤影を認め,MRIではT1WIで筋肉と等信号,T2WIでやや高信号,short T1 inversion recovery (STIR)では著明な高信号を示し血管腫が疑われた.さらに,顔面・頸部・体幹・四肢に皮膚血管腫を認め,青色ゴムまり様母斑症候群(blue rubber bleb nevus syndrome:BRBNS)の可能性が示唆された.前縦隔腫瘤影に対し,胸腺腫を念頭に診断的治療として手術の方針としたが,鑑別診断として血管腫も挙げられた.胸腺全摘術を施行し病理組織学的に胸腺内血管腫と判明した.さらに,消化管内視鏡検査および頭部MRIで食道および小脳にも血管腫を認め,BRBNSと診断した.胸腺内血管腫を合併したBRBNSはまれと考え報告する.