日本臨床外科学会雑誌
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症例
大腸癌術後フォローアップ中に腹膜転移を疑った消化管外アニサキス症の1例
井川 理山口 明浩柿原 直樹藤井 宏二谷口 弘毅竹中 温桂 奏
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2015 年 76 巻 11 号 p. 2764-2768

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抄録

症例は54歳,女性.2年前に直腸S状部癌に対して腹腔鏡下高位前方切除を施行されていた.2年後の定期フォローアップ検査の腹部超音波検査と単純CTで,左下腹部のポートサイト創部直下に腹腔内腫瘤を認めた.FDG-PET/CTではSUV値1.4と軽度の集積を認め,ポートサイト腹膜転移と診断した.他の部位の再発所見を認めないため,開腹による切除術を施行した.病理組織所見では好中球浸潤を伴う壊死組織内にアニサキスの虫体を認めた.腸管外アニサキス症では無症状で経過する例があり,頻度は低いが腹部超音波やPET-CTで偶然見つかった腹腔内腫瘤では念頭に置くべきと考えられた.

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© 2015 日本臨床外科学会
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