2024 年 45 巻 1 号 p. 35-43
疎水化多糖の水中での自己組織化により形成する物理架橋ナノゲルは,タンパク質取り込みなどの高分子ホスト機能を有し,ワクチンキャリアなどの新規モダリティとして医療応用を図ってきた。本稿では,反応性基を導入した疎水化多糖ナノゲルと水溶性モノマーとの重合反応,あるいは,多分岐ポリエチレングライコールマクロモノマーとの反応により,ナノゲルをネットワークとする新規ハイブリッドゲルの構築と機能について解説する。ナノゲルをビルディングブロックとしたボトムアップ法により様々な構造,特性を有するゲル材料の設計(ナノゲルテクトニクス)とDDS,再生医療用人工細胞外マトリクスとしての機能を検討している。