2015 年 76 巻 2 号 p. 392-395
症例は75歳,男性.2013年2月に胃癌,腸間膜浸潤に対して,胃全摘術+胆嚢摘出術+脾臓摘出術+横行結腸,小腸部分切除術を施行し,進行度はT4a(SE),N3,M0,P0,CY0,H0,Stage IIICであった.術後補助化学療法としてTS-1+Docetaxel(DTX)を施行したが,術後10カ月でCEAの上昇を認め,右副腎の軽度腫大を認め,胃癌の転移が指摘された.TS-1+DTXを再開したが,術後17カ月では右副腎は増大しており,他への転移は認めなかった.PET-CTでも異常集積は右副腎だけであり,胃癌術後の孤立性右副腎転移と診断し,腹腔鏡下右副腎摘出術を施行した.病理組織所見では胃癌の副腎転移に矛盾しなかった.術後はCPT-11での術後補助化学療法を行い,再発所見は認めていない.
胃癌副腎転移の切除例は珍しく,低侵襲である腹腔鏡下で切除できた症例であり,文献的考察を加えて報告する.