日本臨床外科学会雑誌
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症例
経皮経肝胆道ドレナージを用いて保存的に治癒した輸入脚閉塞症の1例
永井 啓之野澤 聡志齋藤 徹升田 貴仁郷地 英二
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2015 年 76 巻 3 号 p. 498-502

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抄録

症例は72歳,男性.胃癌に対し胃全摘・Roux-Y法再建術後,胆嚢摘出術施行後,第14病日に左上腹部痛と発熱出現.血液検査にて炎症反応および胆道系酵素上昇を認め,腹部CTにて輸入脚腸管の著明な拡張と総胆管・肝内胆管拡張を認め輸入脚閉塞症と診断.経皮経肝胆道ドレナージ(PTCD)施行し,胆管炎の治療とともに同ルートよりチューブを拡張腸管内へ留置し腸液ドレナージとした.症状は早期に改善し,また,輸入脚腸管を長期ドレナージすることにより減圧のみで保存的に輸入脚閉塞症を治療しえた.輸入脚閉塞症は経鼻的イレウス管による減圧は困難であり再開腹により解除術施行されることが多いが,経皮経肝胆道ドレナージは非手術療法として有効な治療手技と思われた.

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© 2015 日本臨床外科学会
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