日本臨床外科学会雑誌
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症例
Rosen triadを呈した乳腺管状癌の1例
洲崎 聡柳橋 健橘 強濱田 新七
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キーワード: 乳腺管状癌, Rosen triad
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2015 年 76 巻 4 号 p. 688-692

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抄録

症例は46歳,閉経前女性.企業健診の乳腺超音波検査で異常を指摘され,精査目的に当科受診.右乳房内側下部に分葉状腫瘤性病変を認め,経過観察を行った.2年6カ月後,マンモグラフィに構築の乱れが出現した.針生検では異型小葉を認めるのみで診断に至らず,切開生検を行った.組織診断は管状癌で,近傍に円柱状細胞と,非浸潤性小葉癌を認めた.病理学的に,乳腺管状癌と円柱状細胞,非浸潤性小葉癌の三徴が併存する所見を,Rosen triadと提唱されている.本症例はRosen triadを呈する乳腺管状癌と診断された.乳癌検診にマンモグラフィが導入され,低悪性度乳癌症例の発見が増加し病理診断がより困難となっているが,これら三徴の存在が管状癌の確定診断の根拠となり得る.確定診断がつくことにより,臨床的に治療方針の決定や予後予想が可能となるため,Rosen triadを認識していることは有用である.

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