日本臨床外科学会雑誌
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症例
Oozing型左室破裂後の慢性期左室仮性瘤の1例
岡野 高久藤原 克次夜久 均
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2015 年 76 巻 4 号 p. 699-703

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抄録

症例は74歳,男性.胸痛を自覚するも放置,4日後に再び胸痛が出現し心源性ショックで救急搬入となった.緊急CAGで左冠動脈回旋枝(#13)の完全閉塞を認め,心エコーで非薄化した左室後側壁と多量の心嚢液貯留を認めた.急性心筋梗塞およびoozing型心破裂による心タンポナーデと診断した.発症から数日経過しており再灌流障害を危惧しPCIは行わず,心タンポナーデに対して直ちに心嚢ドレナージを行った.急性期を保存的治療のみで乗り切ることができたが,3カ月後の心エコーで左室後側壁に径30mm大の左室仮性瘤を認めた.破裂の危険を危惧し,可及的早期に左室形成術および冠動脈バイパス術を行った.仮性瘤は比較的強固に周囲と癒着し瘤内に血栓を認めた.Oozing型左室破裂症例では,急性期治療のみだけでなく慢性期の心室仮性瘤も念頭に心エコーによる慎重な経過観察を行い,仮性瘤発生時には可及的早期に手術することが肝要である.

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