抄録
症例は73歳,男性.コンクリート破砕作業中に,器械の刃が破損して前頸部を受傷した.両側反回神経損傷を伴う外傷性気管食道断裂に対して緊急手術を施行した.気管および食道壁は挫滅により色調不良を認め,一期的再建は誤嚥や縫合不全のリスクが高いと考え,喉頭気管分離術(気管皮膚瘻+唾液瘻+食道瘻造設)ならびに胃瘻造設術を施行した.唾液瘻より経鼻胃管を挿入し唾液の持続ドレナージを行い,初回手術より43日後に消化管再建を行った.咽喉頭摘出後に上部空腸を遊離空腸グラフトとして用い,空腸動脈と上甲状腺動脈,空腸静脈と右内頸静脈の血管吻合を加えて遊離空腸再建を行った.術後経過は良好で,全粥食が摂取可能となり再建術後第38病日に退院となった.今回,計画的に二期的消化管再建を行った外傷性完全気管食道断裂の1例を経験したので報告する.