日本臨床外科学会雑誌
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症例
腹壁を貫通した金属片が消化管内異物として発見された1例
山名 大輔稲葉 行男滝口 純佐藤 清林 健一
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2015 年 76 巻 4 号 p. 738-742

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抄録

症例は50歳台,男性.平成26年7月に薪割りの作業を行っていた.同僚が4mほど離れた位置で金属製の楔を薪に打ち込んでいたところ,楔の一部が欠けて患者の左側腹部に飛来した.皮膚には5mmほどの刺創を認め,創部痛を主訴に当院救急外来を受診した.腹膜刺激症状なく,全身状態は安定していた.受傷現場に金属片を確認できなかったため,画像検査を施行した.腹部レントゲン検査にて経時的に移動する異物を,CTにて腹腔内遊離ガス像と十二指腸下行脚にアーチファクトを伴う異物を同定した.腹壁を穿通した異物による胃穿孔と診断し,緊急手術を施行した.腹腔内は少量の血性腹水と胃体中部大弯後壁の穿孔を認めたが,周囲臓器に損傷はなかった.穿孔部位は縫合閉鎖し,異物は術中透視で位置を確認し空腸を小開窓して摘出した.緊急手術を施行した腹部穿通性外傷および胃穿孔の症例を経験したため,若干の文献的考察を加え報告する.

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