日本臨床外科学会雑誌
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症例
Ball valve syndrome をきたした0-I型早期胃癌の1例
下村 知雄榊原 孝至中路 太門今冨 翔士
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2015 年 76 巻 4 号 p. 753-756

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抄録

症例は89歳,女性.主訴は食後の嘔吐.内視鏡検査にて胃前庭部大弯に基部を有する巨大なpolypoid lesionを認め,十二指腸に脱出していた.生検の結果はtubular adenocarcinoma,well differentiatedであった.Scope にて腫瘍を胃内へ還納できるも,基部の視野を十分確保できないため内視鏡治療を断念し,幽門側胃切除・Billroth I法再建術を施行した.術後経過は概ね良好にて術後26日目に退院し,現在外来フォロー中である.胃の腫瘍性病変が十二指腸に脱出し,幽門閉塞をきたす病態はball valve syndrome と言われるが,今回われわれは,早期胃癌によるその1切除例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.

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© 2015 日本臨床外科学会
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