日本臨床外科学会雑誌
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症例
腹腔鏡手術後に上腸間膜静脈・門脈血栓症をきたした上行結腸憩室症の1例
吉田 亮介脇 直久河合 央石崎 雅浩西 英行山下 和城
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2015 年 76 巻 4 号 p. 827-831

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抄録

上行結腸憩室症に対する腹腔鏡下大腸切除術後に発症した上腸間膜静脈(SMV)・門脈(PV)血栓症の1例を経験したので報告する.症例は57歳,男性.血液検査でHgbが17.6g/dl,Hctが51.0%と高値であった.上行結腸憩室症に対して待機的に腹腔鏡下回盲部切除術を施行した.術後18日目に心窩部痛と背部痛を生じ,CT検査でSMVとPVにおける血栓を認めた.直ちにヘパリン,ウロキナーゼとワーファリンの投与を開始し,7日後にワーファリンの単独投与へ移行した.術後92日目のCT検査で血栓はSMVの分枝の一部に残存するのみであった.腹腔鏡下大腸切除術後に発症したSMV・PV血栓症は極めてまれである.自験例について,炎症を伴わない待機手術であったことから赤血球増多の状態に加えて,手術に伴う何らかの要因により発生した可能性が高いものと考えられた.

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