日本臨床外科学会雑誌
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症例
単純性肝嚢胞内へ浸潤性発育を示した肝細胞癌肝内転移の1例
高田 智司田島 秀浩中沼 伸一林 泰寛高村 博之太田 哲生
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2015 年 76 巻 4 号 p. 863-867

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抄録

症例は66歳,男性.前立腺炎を契機に腹部CTで肝S8に3つの異なる画像所見を呈する腫瘤性病変が指摘された.腫瘍1はドーム下の約1.5cmの充実性病変,腫瘍2は横隔膜に浸潤する約6cmの出血・壊死を伴う病変,腫瘍3は末梢胆管の拡張所見を伴う4cm大の嚢胞性病変とその内腔へ突出する2cm大の結節性病変であった.腫瘍1・2はCT/MRIの造影パターンから肝細胞癌に矛盾しないと考えられ,腫瘍3は肝嚢胞腺癌やIPNBなどとの鑑別を要したが,右肝切除術で3病変とも切除可能であり,手術を施行した.病理組織学的には腫瘍1・2は高~中分化肝細胞癌であり,腫瘍3は門脈・胆管浸潤を伴う低分化型肝細胞癌と診断された.腫瘍3は経門脈的に転移した肝細胞癌が嚢胞内に浸潤性発育して特殊な画像所見を呈したものと考えられ,非常に稀な病態と考えられた.

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© 2015 日本臨床外科学会
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