日本臨床外科学会雑誌
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症例
膵頭十二指腸切除術後に発生した異時性胆管癌に対し肝切除術を施行した1例
榎本 好恭齊藤 研齋藤 礼次郎武田 郁央洞口 正志平山 克
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2015 年 76 巻 4 号 p. 880-884

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抄録
症例は61歳,女性.平成16年に中部胆管癌に対し膵頭十二指腸切除術(PD)を施行,その後は無再発であったが,平成23年に全身倦怠感を主訴に来院された.CTとMRIにて肝後区域に多発した腫瘤を認め,後区域胆管に腫瘍の存在が示唆された.PD術後の胆管断端再発または肝内胆管癌を疑い手術の方針とした.PD術後の胆管断端再発の場合を考慮して,胆管空腸吻合部を含めた肝拡大右葉切除術を施行した.病理組織標本にて後区域に多発した腫瘤はすべて膿瘍であり,胆管空腸吻合部近傍の後区域胆管に腫瘍を認めた.腫瘍は吻合部からは離れており,その大部分が内腔の乳頭状部分であったことから,吻合部再発でなく異時性に発生した肝内胆管癌と診断された.術後経過は良好にて術後20日目に退院,現在も無再発生存中である.PD術後7年目に発生した異時性胆管癌に対し肝切除を行い,良好な経過をとることができたので,若干の肝文献的考察を加え報告する.
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© 2015 日本臨床外科学会
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