日本臨床外科学会雑誌
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症例
11歳女児に発生した良性葉状腫瘍の1例
平井 利明徳山 信嗣小西 宗治
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キーワード: 葉状腫瘍, 小児
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2015 年 76 巻 6 号 p. 1289-1293

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抄録

乳腺葉状腫瘍の発生頻度は,乳腺腫瘍全体の0.3~1%以下程度で,好発年齢は40歳台であり,10代での発症はまれとされている.今回われわれは,11歳の女児に発生した良性葉状腫瘍の1例を経験したので文献的考察を加え報告する.約2カ月の経過で増大傾向を示す3cm大の右乳房腫瘤を主訴に当科紹介受診.針生検では繊維腺腫との診断であり,画像検査でも繊維腺腫に矛盾しない所見であったが,腫瘍径,および急速な増大傾向を考慮し切除生検を施行したところ,病理組織結果は良性葉状腫瘍であった.葉状腫瘍は線維腺腫と鑑別困難なことがあり,本症例においても症状・画像・組織所見からは術前の鑑別は困難であった.再発・悪性化等を考慮すると安全域を含む切除が望ましいが,特に若年者の良性腫瘍においては,マージンを付けた切除や再切除を行うかどうか検討の余地があり,厳重な経過観察を含め,慎重に治療方針を決定する必要があると考えられた.

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