日本臨床外科学会雑誌
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症例
確定診断に苦慮した男性乳腺被包型アポクリン乳頭癌の1例
松方 絢美大井 恭代相良 安昭四元 大輔馬場 信一雷 哲明
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2015 年 76 巻 6 号 p. 1294-1300

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抄録

男性乳腺に発生した被包型アポクリン乳頭癌の1例を報告する.症例は50歳,男性.右乳房腫瘤を自覚し,当院を受診した.初診時,右乳房AC領域に径30mm大の腫瘤を触知したが,19カ月後には径100mm大へ増大した.超音波検査では,多房性嚢胞性腫瘤内に乳頭状充実部分がみられた.穿刺吸引細胞診では鑑別困難の診断であり,診断と治療を兼ねた腫瘍切除術を施行した.病理組織学的に,乳頭状充実部がみられる多房性嚢胞性腫瘤であり,嚢胞壁はアポクリン細胞で覆われていた.筋上皮細胞が消失していたが,核異型は軽度であった.低異型度アポクリン病変には明確な基準がないため,良悪判断が困難であったが,本症例は組織所見と臨床所見より,Encapsulated apocrine papillary carcinoma with low grade malignancyと判断した.術後7カ月経過しているが,再発を認めていない.

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© 2015 日本臨床外科学会
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