2015 年 76 巻 6 号 p. 1393-1396
症例は51歳,男性.上腹部痛と嘔吐を主訴に来院した.腹部CTで小腸腫瘍によるイレウスと診断した.原発性小腸癌またはgastrointestinal stromal tumor(GIST)を疑い手術を施行した.腹腔鏡補助下に手術を施行した.術中所見ではBauhin弁より約50cm口側の回腸に直径5cmの腫瘤を認め,小切開創からの腫瘍切除が可能と判断し小腸部分切除術を施行した.摘出標本では輪状狭窄型の腫瘍を認めた.病理組織学的検査では小腸粘液癌と診断され,腫瘍近傍のリンパ節に転移を認めた.pT3(SS),ly(+),N1(1/4),stage IIIA(UICC第7版).今回,われわれはイレウス症状を契機に発見され,腹腔鏡補助下に切除しえた稀な原発性小腸粘液癌の1例を経験したため,若干の文献的考察を加え報告する.