抄録
症例:喉頭癌に対して喉頭全摘後の73歳の男性.綿棒を用いて永久気管孔の処置をしていた際に,深部まで誤挿入し気道出血したため来院した.気管支鏡とCTにて,気管分岐部直上の膜様部損傷および縦隔気腫と診断し手術を施行した.手術は右側方開胸で奇静脈のやや頭側に気管膜様部損傷を確認した.同部位を連続縫合閉鎖し,開胸時に作成した有茎肋間筋弁を食道と損傷部位の間に充填した.考察:鈍的な気道内圧上昇による気管膜様部裂傷であれば保存的な治療も選択される場面もあるが,本症例では全層欠損を伴う損傷で自然閉鎖は困難と考え,早期に外科的閉鎖を行った.胸腔鏡により食道を剥離して充填する術式も考慮したが,原疾患が喉頭癌であることから,有茎肋間筋弁による充填術式を選択し良好な結果を得た.