2015 年 76 巻 6 号 p. 1429-1433
症例は59歳の男性で,横行結腸癌の診断にて結腸部分切除術(横行結腸),D3リンパ節郭清を施行した.術後経過は良好で,術後11日目に退院したが,退院後3日目に腹部膨満・腹痛・嘔吐を認め来院し,上腸間膜動脈症候群と診断した.入院後,絶食と胃管挿入にて症状は改善した.入院後17日目より食事を開始し,その後は再燃を認めなかった.上腸間膜動脈症候群は,上腸間膜動脈と大動脈との角度の狭小化が原因とされるが,今回著者らは,発症前,発症時および症状改善後の上腸間膜動脈と大動脈の角度の変化を経時的に画像(水平断,矢状断)で評価し,発症機序について考察したので報告する.