日本臨床外科学会雑誌
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症例
術後10年目に腹膜再発をきたした大網原発腺様嚢胞癌の1例
中島 悠久留宮 康浩水野 敬輔世古口 英小林 聡桐山 宗泰
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キーワード: 大網腫瘍, 腺様嚢胞癌
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2015 年 76 巻 6 号 p. 1527-1531

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抄録

症例は34歳,女性.2004年に他院にて腹腔内腫瘍に対し腫瘤摘出術を施行された.前医の病理診断は大網原発の骨外性粘液性軟骨肉腫であった.その後,通院を自己中断していた.2014年4月,腹部違和感を主訴に当院を受診し,腹部造影CTでは左上腹部に肝外側区域を圧排する最大径15cmの内部石灰化を伴う分葉状腫瘍と,肝S6に二つの腹膜結節を認めた.左上腹部の腫瘍より生検を行い,p63・c-kit・EMAの3種の免疫染色が陽性であり腺様嚢胞癌と診断した.前医で摘出された大網原発腫瘍の組織形,免疫染色ともに同一であったため,大網原発腫瘍の腹膜再発と診断した.手術は横隔膜合併肝外側区域切除・腹膜結節切除を施行し遺残なく腫瘍を切除した.
大網原発の腺様嚢胞癌は検索しえた限り1例もなく,極めて稀な症例と考える.

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© 2015 日本臨床外科学会
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