抄録
近年,乳癌に対する局所治療は,乳房部分切除とその後の放射線照射併用による乳房温存療法が標準療法として確立してきている.われわれは,右乳癌手術後放射線照射の19年後に発症した放射線照射後に生じた平滑筋肉腫を経験したので,文献的考察を加えて報告する.
症例は65歳,女性.主訴は右鎖骨下腫瘤.既往歴は他院にて平成7年に右乳癌に対し,右乳房温存手術,同側腋窩郭清施行.術後残存乳腺に放射線照射施行.計5年間経過観察され,再発なく終診となっていた.1カ月前に右鎖骨下に腫瘤を自覚し,当院受診.右第2肋骨直上に小指頭大の弾性,軟の腫瘤を触知した.さらに,その外側にも米粒大の腫瘤を2個触知した.生検目的も兼ね,全身麻酔下で切除術を行った.免疫染色の結果,ASMA+,Desmin+,BCL2+より,放射線照射後平滑筋肉腫と診断した.