抄録
症例は72歳,男性.58歳時に早期胃癌にて幽門側胃切除術,Billroth-I法再建を受けた.胃癌検診にて要精査となり,当院で施行した上部消化管内視鏡検査にて食道胃接合部に隆起性病変を,胃十二指腸吻合部口側に0-IIa病変を,噴門部大弯後壁に潰瘍性瘢痕を認めた.生検でそれぞれpor2,tub1,悪性所見なしであった.同時重複した残胃癌と診断し残胃全的術,Roux-en-Y再建を施行した.免疫組織学的染色から食道胃接合部の隆起性病変はsynaptophysin陽性,CD56陽性,Ki-67 48%,核分裂像は9/10HPFで神経内分泌癌と診断した.残胃に分化型管状腺癌と同時重複し,早期癌の段階で発見された神経内分泌癌は非常に稀である.術前診断が難しく,症例の集積も少ないため治療方針の決定も難しかった症例を経験したので,文献的考察を加え報告する.