抄録
症例は72歳,男性.体上部進行胃癌に対し開腹胃全摘術,膵体尾部脾合併切除を施行した.病理診断で胃原発神経内分泌癌の診断となった.術後1年間,S-1による術後補助化学療法を施行した.術後1年6カ月に孤立性肺転移を認め,胸腔鏡補助下右肺部分切除術を施行した.病理所見でも既存の胃癌切除検体の標本と酷似しており,胃癌肺転移と診断された.その後,無治療経過観察しており,現在初回手術後5年経過しているが無再発生存中である.
胃癌肺転移は一般に予後不良とされるが,本症例のように孤立性肺転移の場合には切除により長期生存が得られる可能性がある.また,胃原発神経内分泌腫瘍はその病理学的特徴からリンパ節転移や肝転移をきたしやすく,本症例のように肺転移切除により無再発生存が得られる例は珍しいと思われる.今回われわれは,胃原発神経内分泌癌術後の孤立性肺転移を切除し,無再発生存を得られている症例を経験したため,報告する.