抄録
症例は72歳,男性.約30年前に胆嚢総胆管結石症で手術の既往あり.胸部異常陰影の精査で施行したCT検査で腹腔内腫瘤を指摘され,当科に紹介された.CT上,結腸肝弯曲部に45×30mm大の辺縁に石灰化を伴う腫瘤を認め,腹腔内異物を疑い手術を施行した.腫瘤は横行結腸間膜に連続し,横行結腸壁と癒着していたため結腸部分切除術を施行した.膵前面との癒着もあり剥離に難渋した.術後は膵瘻と吻合部の縫合不全をきたしたが,ドレナージで保存的に治療した.腫瘤内部には血栓が充満し,繊維化した腫瘤壁の一部に断片化した縫合糸を多数認め,以前の胆嚢総胆管結石に対して施行した手術が関与した医原性動脈瘤と診断した.腸間膜動脈瘤は破裂に伴う腹痛,腹腔内出血,消化管出血により発見されることがほとんどである.本症例はCT検査で偶然発見され,腫瘤摘出によって診断しえた医原性横行結腸間膜動脈瘤の稀な1例であった.