抄録
消化管重複症は,全消化管のどの部位にも発生しうる先天性疾患で,多彩な腹部症状を呈する.乳幼児期までに発見されることが多い先天性疾患であり,成人での発症は比較的稀である.特に腸管重複症の軸捻による急性腹症は報告例が少なく,術前診断は難しい.今回われわれは成人の腸管重複症の軸捻により,急性腹症をきたした症例を経験したので,本症例について若干の文献的考察を加えて報告する.症例は33歳,男性.昼食後に疝痛が出現し,夜間に腹痛増強と嘔吐を認めたため救急受診した.来院時に撮影した腹部造影CTで下腹部正中に拡張した小腸と,その口側で腸管が捻れた像を認め,絞扼性イレウスと診断し緊急開腹手術を施行した.Treitz靱帯から210cmの部位に正常腸管と交通のある重複腸管を認め,分枝部で720°時計回りに軸捻し,虚血に陥っていた.重複腸管を含む小腸部分切除術を行った.術後経過は良好で術後4日目に退院した.