抄録
症例は67歳,男性.発熱,右股関節痛および右下腹部痛を主訴に受診した.腹部CTで盲腸に全周性の壁肥厚と右腸腰筋に膿瘍を認めた.下部消化管内視鏡検査で同部位に全周性の腫瘍が存在し,生検で中分化型管状腺癌と診断され,腹腔鏡下手術を施行した.小腸間膜に腹膜播種を数箇所認めたが,合併切除は可能であり,D3郭清,回盲部切除術,膿瘍ドレナージを施行した.近年,腸腰筋膿瘍を合併した大腸癌の切除症例の報告があるが,腹腔鏡下に切除を施行したのは自験例のみである.低侵襲および拡大視効果による病変の局在,腹腔内観察,後腹膜解剖の把握が可能であり,腹腔鏡下手術の適応拡大に対し,興味深い1例となった.