抄録
非常にまれである卵管癌の大腸転移を経験したため,文献的考察を加えて報告する.
患者は70歳台の女性.S状結腸浸潤を疑う左卵管癌に対して単純子宮全摘,両側付属器切除,S状結腸部分切除,大網切除術を受けた.病理結果は漿液性腺癌であり,S状結腸への腫瘍浸潤や転移は認めず経過観察のみ受けていた.3年後のCT検査で上行結腸背側およびDouglas窩に播種を疑う病変を指摘され,内視鏡検査では上行結腸内腔へ突出する隆起性病変が確認された.腫瘍からの出血により貧血が進行するため,出血コントロール目的に外科的切除が行われた.
特に合併症を認めず,術後12日目に退院となった.
病理組織学的には卵管癌と同一の腫瘍細胞を認め,リンパ管侵襲とリンパ節転移を伴っていた.漿膜面に腫瘍の露出を認めないことから,播種性転移ではなくリンパ行性の転移と考えられた.