2026 年 26 巻 1 号 p. 23-27
酵素は洗浄時に必要なエネルギーを削減しつつ,洗浄対象となる汚れを分解除去でき,また環境へ放出したとしても負荷が低いといった特性を有する。そのため,酵素を洗浄剤に配合することは,SDGsや環境配慮(ECO)の観点から重要な検討項目の一つとなっている。しかし,酵素配合製品においてその性能を十分に発揮させ,かつ製品の品質を維持することは容易ではない。たとえば,アミラーゼは水道水に消毒目的で添加されている塩素(次亜塩素酸ナトリウム等)の酸化作用により失活することが多い。そのため,アミラーゼを水道水で希釈すると,アミラーゼが失活し,米飯などのデンプン汚れに対して十分な洗浄力を発揮できなくなる。この酵素失活の問題を解決するには,塩素除去剤としてアミン化合物や還元剤を洗浄剤に配合し,塩素を不活化する必要がある。しかし,ほとんどのアミン化合物および還元剤には,酵素の保存安定性,洗浄剤の外観安定性,あるいは金属に対する腐食性などの点で何らかの欠点がある。本総説では,これらの課題を解決するために行った検討の結果について報告する。