2016 年 77 巻 3 号 p. 644-649
膵solid-pseudopapillary neoplasm(以下,SPNと略記)は若年女性に好発する腫瘍であり,男性例は比較的まれである.今回,われわれは男性の膵SPNの1例を経験したので報告する.
症例は45歳の男性で,検診の腹部CT検査で膵尾部に石灰化を伴う約85mmの腫瘤を指摘され,当院受診した.MRIでは,T1強調画像で腫瘍はhigh intensityを示し,T2強調画像ではhigh intensityとlow intensityが混在していた.画像所見から膵SPNと診断し,膵体尾部切除術を施行した.病理結果では,被膜浸潤・脂肪織浸潤を有する膵SPNと診断した.術後膵液瘻などの合併症なく経過し,術後2年3カ月無再発生存中である.