日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
腹腔鏡下修復術を行った妊娠出産後腹直筋離開の2例
中右 雅之橘 強岡部 寛光吉 明柳橋 健
著者情報
キーワード: 腹直筋離開, 腹腔鏡, 出産後
ジャーナル フリー

2016 年 77 巻 3 号 p. 657-661

詳細
抄録

妊娠・出産による腹直筋離開は,欧米ではしばしば治療対象となるが本邦では着目されていない.今回われわれは,腹部膨隆を主訴とする2回の経膣分娩歴のある33歳,および双子を帝王切開で出産した36歳の女性の腹直筋離開に対し腹腔鏡下に修復を行った.両者とも離開部を鏡視下に非吸収糸で縫縮した後composite meshによる補強を行った.腹部CTによる術前・術後6カ月の腹直筋間距離(inter-recti distance:以下IRD)を,臍部頭側3cm・臍部中央・臍部尾側2cmで計測を行い評価した.1例目ではIRDは術前26mm・42mm・20mmから術後は10mm・15mm・10mmと,2例目では術前26mm・32mm・23mmから16mm・9mm・9mmと短縮した.両者とも術後合併症はなく修復に対する満足度は高かった.妊娠出産後の腹直筋離開に対する本邦での腹腔鏡下修復例の報告はなく,文献的考察を加え報告する.

著者関連情報
© 2016 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top