2016 年 77 巻 3 号 p. 662-669
症例は71歳,女性.偶然に右副腎腫瘍を指摘され精査加療目的に当科紹介となった.内分泌学的検査では血中ノルアドレナリンの軽度上昇を認めた.CT,MRIで右副腎領域に長径9.5cm大の腫瘍を認めた.腫瘍は肝臓や下大静脈に接し圧排していたが,明らかな浸潤を疑う所見は認めなかった.画像所見から右副腎癌が疑われ,腫瘍摘出術を施行した.術後の病理組織学的所見から後腹膜神経鞘腫と診断された.術後6カ月経過するが,明らかな再発所見は認めていない.稀とされる後腹膜神経鞘腫の1例を経験したので報告する.