日本臨床外科学会雑誌
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症例
Bevacizumab併用化学療法中に胃穿孔をきたした再発結腸癌の1例
宮北 寛士中村 知己新田 美穂西 隆之島田 英雄貞廣 荘太郎
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キーワード: Bevacizumab, 胃穿孔, 結腸癌
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2016 年 77 巻 4 号 p. 863-867

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抄録
症例は79歳,女性.肝浸潤を伴う横行結腸癌に対して,結腸右半切除術,肝部分切除術,胆嚢摘出術,リンパ節郭清を施行した.術後3カ月でCEAの上昇を認めた.術後,局所再発を認め,Bevacizumab+XELOX療法を開始した.2クール終了後,腹痛を主訴に外来受診した.消化管穿孔による汎発性腹膜炎の診断で緊急手術を施行した.胃前庭部前壁に穿孔部を認め,開腹洗浄ドレナージ,体網被覆を行った.術後,第23病日に再度,強い腹痛と発熱を認め,CT検査にて腹腔内遊離ガスと腹水を認め,消化管再穿孔の診断で緊急手術を施行した.穿孔部検索するも明らかな穿孔部は認められず,開腹洗浄ドレナージ術,ドレーンを留置し手術を終了した.術後,ドレーン造影にて胃内との交通を認め,瘻孔閉鎖に90日と長期間かかった.Bevacizumabによる消化管穿孔は重篤な副作用として知られているが,胃穿孔の報告は本邦初例である.腹膜炎症状の再発および瘻孔閉鎖に長期間を要した症例を経験した.
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© 2016 日本臨床外科学会
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