抄録
アポクリン癌は皮膚原発の比較的稀な悪性腫瘍である.腋窩に好発することより,副乳癌や転移性腫瘍などが鑑別に挙がり診断に難渋する.術後9年目で再発を認めたホルモン受容体陽性アポクリン癌の1例を経験したので報告する.症例は67歳,女性.左腋窩腫瘤の増大を認め当科受診.皮膚生検で,真皮全層に索状構造を呈した異型細胞を認めたため癌の診断となり,腫瘍摘出術,腋窩リンパ節郭清を行った.術後病理結果はアポクリン癌であった.皮膚原発と副乳癌との鑑別はできなかったが,ホルモン受容体陽性,リンパ節転移陽性であったため,術後5年間ホルモン療法を行った.その後近医フォロー中,術後9年目に右頸部リンパ節腫大とNCC-ST-439の上昇を認めた.全身精査の結果,右頸部リンパ節腫大のみであったため摘出術を施行.術後病理結果はアポクリン癌のリンパ節転移であった.ホルモン受容体陽性であり,術後は再度ホルモン療法を施行中である.