2016 年 77 巻 5 号 p. 1078-1082
症例は8歳,男性.腹痛・発熱を主訴に当院を受診した.血液生化学検査にて炎症反応上昇を認め,腹部造影CTでは索状構造により胃の小彎側に連続する長径12cmの多房性嚢胞性病変を認めた.入院による抗生剤加療にて一旦症状は軽快し退院した.退院約1カ月後に待機的に単孔式腹腔鏡下での腫瘤切除術を行った.腫瘤は嚢胞構造を有し頭側が索状となり,胃の背側から小彎側に連続していた.切除標本は病理組織学的に胃漿膜下層に連続するリンパ管奇形と診断された.まれな胃リンパ管奇形を単孔式腹腔鏡にて切除しえた1例を経験したので,若干の文献学的考察と術式の工夫点を含め報告する.