日本臨床外科学会雑誌
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症例
イマチニブ投与中に2回の緊急開腹止血術を行った胃GIST腹膜播種破裂の1例
森 治樹金岡 祐次前田 敦行高山 祐一深見 保之尾上 俊介
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2016 年 77 巻 5 号 p. 1083-1087

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抄録

症例は53歳,女性.2010年に胃gastrointestinal stromal tumor(以下,GIST)肝転移に対して胃部分切除+肝左葉切除術を施行した.多発肝転移と腹膜播種再発に対して,イマチニブ内服136日後に急激な腹痛で当院救急外来に搬送された.腹膜播種破裂による腹腔内出血と診断し,緊急手術を行い,破裂出血していた播種病巣を切除した.その後は,イマチニブ内服せずに経過観察していたが,初回出血術後から2年を経て腹膜播種巣の増大を認め,再度イマチニブ内服を開始した.イマチニブ内服26日後に,出血性ショックで救急搬送となった.再び腹膜播種破裂による腹腔内出血を認め,緊急手術を施行した.破裂出血していた播種病巣を含め横行結腸切除を施行し止血を得た.
再発GISTに対してはイマチニブ内服が標準治療である.イマチニブ投与による腫瘍出血はまれであり,若干の文献的考察を加えて報告する.

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