抄録
小腸憩室は消化管憩室の中で比較的稀な疾患である.本症は穿通・穿孔をきたすことは少ないが,穿孔すれば診断の遅れにより致命的となることがある.回腸憩室穿孔により緊急手術を要した小腸真性多発憩室症の1例を経験したので報告する.症例は89歳,男性.腹痛を主訴に来院し,腹部CT検査で,直腸間膜付近にfree airを認めた.大腸穿孔を疑い緊急手術を施行した.術中所見では,小腸全般に腸間膜側へ多発する憩室を認めた.回腸末端より180cm口側で,直腸間膜に癒着した回腸に腸間膜側への憩室穿孔を認めた.腸間膜の膿瘍を含めて回腸部分切除術を行った.病理組織学的には小腸真性憩室穿孔の診断であった.本症は小腸全般に真性憩室を多数認める非常に稀な症例であると考えられた.