日本臨床外科学会雑誌
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症例
腹腔鏡下に切除した尿膜管横行結腸瘻を伴う盲腸癌の1例
馬場 裕信小野 千尋織田 福一郎村山 忠雄星野 直明西岡 良薫
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2016 年 77 巻 5 号 p. 1150-1154

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抄録

症例は56歳,女性.腹痛,発熱を主訴に近医より当科紹介受診となった.臍下に熱感を伴う60mm大の腫瘤を触知した.尿膜管遺残症を疑い腹部CT検査を施行すると,尿膜管遺残膿瘍および盲腸癌も偶然発見された.炎症の改善を期待し抗生剤治療を続けたところ,臍から自然排膿を認めた.注腸および下部消化管内視鏡検査では盲腸癌を認めるのみであったが,臍部からの瘻孔造影では臍から尾側に続く尿膜管および横行結腸が造影された.また,膀胱鏡検査や腹部骨盤MRI検査では尿膜管と膀胱との連続性を認めなかった.以上の所見より,尿膜管遺残症・横行結腸瘻を伴う盲腸癌の診断で,腹腔鏡補助下に結腸右半切除術および尿膜管摘出術を施行した.摘出標本では膿瘍腔と横行結腸に瘻孔形成を認めた.尿膜管遺残膿瘍と結腸の内瘻形成例は少なく,検索した限り横行結腸瘻の報告は海外を含め認めず極めて稀な症例であり,文献的考察を加え報告する.

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© 2016 日本臨床外科学会
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