抄録
症例は58歳,女性.仕事中に突然腹部全体の痛みを自覚し,救急車にて来院.腹部全体に及ぶ反跳痛,腹部CTで横行結腸壁の断裂と近傍の腸間膜内に空気の漏出を認め,横行結腸穿通に伴う汎発性腹膜炎と診断し緊急手術を行った.開腹すると,混濁腹水を認め,脾湾曲部から10cm口側の横行結腸間膜が空気を含み緑色に膨隆しており,腸間膜への穿通所見と考えられた.穿通した横行結腸を切除し機能的端々吻合を行った.術後経過は良好で,第25病日に退院となった.本症例では肉眼的にも病理学的にも穿孔の原因病変は認められず,特発性横行結腸穿孔の診断に至った.特発性横行結腸穿孔の頻度は比較的稀であり,若干の文献的考察を加えて報告する.