抄録
症例は49歳,女性.10年前より左乳房に硬結を自覚していたが,徐々に増大したため当院を受診した.左乳房D領域に6cm大の腫瘤を触知した.超音波検査で6cm×5cm×4cmの嚢胞内腫瘤を認め,嚢胞内の充実性部分は広基性であった.嚢胞内癌を疑い,超音波下マンモトーム生検を行い,乳管癌と粘液癌の両成分を認める左乳癌と診断された.遠隔転移検索目的に骨シンチグラフィーを施行したところ,全身の骨に多発する集積を認め多発骨転移と診断された.しかし,嚢胞内癌主体と考えられたこと,CT所見が乳癌の骨転移像としては非典型的であったためMRI等にて精査を行い,最終的に多発骨転移ではなく線維性骨異形成と診断された.以上より,切除可能な左乳癌の診断で左乳房切除術,センチネルリンパ節生検を施行した.骨シンチグラフィーには疑陽性があることを念頭に置くべきであり,教訓的な症例であった.