日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
大網形成不全に伴う小網裂孔ヘルニアの1例
中尾 英一郎西岡 清訓辻村 直人武元 浩新高地 耕大島 聡
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 77 巻 8 号 p. 2090-2095

詳細
抄録
症例は59歳,男性.開腹手術の既往なし.突然の上腹部痛を主訴に当院を紹介受診した.腹膜刺激症状を認め,腹部造影CTにて胃小弯の腹側に造影されない拡張した小腸がみられた.同部はclosed loopを形成しており,内ヘルニアによる絞扼性イレウスの診断で緊急手術を施行した.開腹時,少量の血性腹水と胃小弯腹側に黒く変色した小腸を2ループ認めた.大網形成不全および大網と横行結腸の癒合不全により胃結腸間膜は認められず,網嚢が広範囲にわたって開放していた.回腸が胃背側を通り,網嚢を経て2cm大の小網異常裂孔から腹側に嵌入し,40cm長にわたって絞扼され壊死していた.回腸部分切除術を施行し,小網異常裂孔を縫合閉鎖した.腹腔内に他の異常所見は認めなかった.先天的な大網形成不全に伴う小網異常裂孔ヘルニアは極めて稀な疾患であり,文献的考察を加えて報告する.
著者関連情報
© 2016 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top