日本臨床外科学会雑誌
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症例
開窓術後に陰圧閉鎖療法を施行した肺癌術後膿胸の1例
田中 希世高見 康二福田 泰也大宮 英泰宮本 敦史関本 貢嗣
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2016 年 77 巻 9 号 p. 2191-2196

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抄録

症例は75歳,男性.肺癌に対し右下葉切除術を施行した.術後9日目に発熱・膿性胸水を認め,胸水培養からMRSA膿胸と診断した.胸腔ドレナージおよび抗生剤投与が奏効せず,保存的治療では改善困難と判断し,術後52日目に開窓術を施行した.以後速やかな感染制御が得られ,開窓術後5日目に菌陰性化が確認された.部位的に筋弁充填等での創閉鎖が困難であったため,陰圧閉鎖療法(Negative Pressure Wound Therapy:NPWT)を追加した.陰圧による肺障害を予防すべく,V. A. C. ®グラニューフォーム®(KCI社)に非固着性シリコンガーゼを二重に被覆したうえで創部に充填し,比較的低圧(-50mmHg)で開始した.臓器・血流障害および疼痛がないことを確認しながら,以後72時間毎に交換し,NPWT開始100日目には完全な上皮化が得られた.

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© 2016 日本臨床外科学会
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