理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 1012
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骨・関節系理学療法
Functional Reach Test時の重心動揺と下肢筋力との関連性について
―在宅高齢者と通所高齢者での比較―
*平瀬 達哉井口 茂飯野 朋彦木村 勝志塩塚 順
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抄録
【はじめに】
 近年、介護予防として高齢者に対する転倒骨折予防教室が各地で行われており、その中で下肢筋力、立位バランス能力が重要とされている。今回、立位バランスの評価として簡便なFunctional Reach Test(以下、RT)時の重心動揺と下肢筋力との関連性について、在宅高齢者と通所高齢者で比較検討したので報告する。
【対象】
 対象は、在宅高齢者(以下、在宅群)27名と通所高齢者(以下、通所群)31名の計58名で、平均年齢はそれぞれ72.7±6.0歳、82.7±5.8歳である。
【方法】
 測定項目は、下肢筋力とリーチ距離及び静止立位時、RT時の重心動揺とした。下肢筋力は膝伸筋と足背屈筋をブレーク法にて測定し、体重比を求めた。重心動揺はアニマ社製荷重検査GS-620を用い、30秒間の静止立位と10秒間のRT時を各2回ずつ測定した。静止立位は裸足にて行い、両側踵部中心間距離が15cm、踵部中心と第2趾先端を結ぶ線が垂直位となるようにし、上肢を自然下垂し前方マーカーを注視させ測定した。RTは静止立位を計測して5秒以上経過後、同様の肢位から右上肢90度屈曲位から最大限前方へリーチさせ1cm単位で測定した。重心動揺解析項目は総軌跡長、X方向及びY方向軌跡長、外周面積、X方向及びY方向最大振幅、左右荷重差の7項目とした。統計処理は、在宅群と通所群との比較についてMann-WhitneyのU検定を用い、また重心動揺と下肢筋力との関連性についてSpearmanの順位相関を用いて比較検討した。
【結果】
(1)在宅群と通所群での比較
 リーチ距離は在宅群で有意に高く、膝伸筋と足背屈筋も在宅群で有意に高かった。静止時重心動揺は左右荷重差を除く全ての項目で通所群が有意に高かった。RT時は外周面積、X方向及びY方向最大振幅で在宅群が有意に高かった。
(2)在宅群での重心動揺と下肢筋力との関連性
 足背屈筋とリーチ距離で正の相関がみられ、静止時重心動揺では全ての項目で相関を認めなかった。RT時では膝伸筋・足背屈筋と総軌跡長で正の相関、足背屈筋とY方向軌跡長で正の相関が認められた。
(3)通所群での重心動揺と下肢筋力との関連性
 静止時で、膝伸筋・足背屈筋と左右荷重差を除く全ての項目で負の相関が認められ、RT時では相関を認めなかった。
【考察】
 今回の結果より、静止時重心動揺では通所群の方が不安定で、また下肢筋力との関係から、静的バランスに筋力低下が関与しているものと考えられた。RT時では在宅群が動的バランス能力は高く、また下肢筋力との関係から、リーチ動作における動的バランスには膝伸筋・足背屈筋の下肢筋力、特に足背屈筋が大きく関与していることが示唆された。今回は下肢筋力に着目したが、リーチ動作には体幹・下肢関節の可動性、平衡機能なども関与していると思われるため、今後の検討が必要であると考える。
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© 2005 日本理学療法士協会
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