2016 年 77 巻 9 号 p. 2259-2263
抗EGFR抗体併用療法が無効と考えられたKRAS exon 2野生型・exon 4変異型大腸癌の1例を経験したので報告する.症例は29歳,女性.発熱と腹痛を主訴に受診し,膀胱,腹壁浸潤,および腹壁膿瘍を伴う9cm大のS状結腸癌と診断した.根治切除は困難でKRAS(従来のKRAS測定対象)野生型であったため,一次治療にmFOLFOX6 + Cetuximab 4コース,二次治療にFOLFIRI + Cetuximab 2コースを行ったがいずれも増悪を認めた.三次治療でFOLFIRI + Bevacizumabを行ったところ奏効し原発巣は7コース後,5cm大に縮小し根治切除を行った.後にALL RASの追加測定でKRAS exon 4変異を認めたことから,KRAS変異のためCetuximabの腫瘍縮小効果が得られなかった可能性が考えられた.