2020 年 76 巻 5 号 p. I_401-I_407
国立公園の持続可能な利用,居住者・利用者の安心・安全を確保するためには,環境保全を念頭においた防災・減災対策の展開が不可欠であると考えられる.本研究では,「国立公園」の空間分布と「自然災害」の関係に着目し,GIS空間情報解析と全国の国立公園を対象にしたアンケート調査により,①国立公園の自然災害被災リスク,②国立公園における生態系サービス機能を明らかにした.GIS空間情報解析では,国土数値情報のオープンデータをもとに,国立公園の地勢・土地分類を把握し,各種自然災害(津波・洪水・土砂災害)の被災リスクの空間分布について明らかにした.また,アンケート調査では,国立公園の利用状況,過去の被災事例,想定される各種自然災害リスク,生態系サービス機能等を把握することを目的として実施し,GIS解析で得られた結果とあわせて整理し,今後,国立公園の保全管理に必要な事項を整理した.