抄録
症例は66歳,男性.4年前に心窩部痛のため,上部消化管内視鏡検査を施行され胃体上部大弯にびらんと小隆起を指摘されたが,生検でGroup2であったため経過観察されていた.また,2年前よりMikulicz病と診断されステロイド内服にて通院加療中であった.経過観察のための上部消化管内視鏡検査で粘膜不正の明瞭化,隆起が増大し,生検で高分化腺癌が認められたため当科紹介となった.CT検査で病変部の著明な壁肥厚と腫大したリンパ節を認めたため,スキルス胃癌を疑い審査腹腔鏡を施行した.病変近傍に異型性を有する小結節を認めたため術前化学療法(S-1+CDDP療法:2クール)を施行後に胃全摘術および脾臓合併切除術,D2郭清を施行した.病理組織検査では,腫大硬化したリンパ節はIgG4関連リンパ節症と診断された.IgG4関連疾患に合併した胃癌では,その進行度診断が困難であるため,IgG4関連疾患に伴う胃壁の肥厚とリンパ節の腫大を考慮に入れて治療方針を決定する必要がある.